つくりえいと

トップ 我流RPG制作論 お約束

 お約束

『期待』から『満足』へ

人は期待した出来事が達成される事で満足します。 例えば、お笑い芸人の前に落とし穴があったら、それに芸人が落ちる姿を期待し、 それが達成されれば、笑うかどうかはさておき、とりあえず『満足』します。 もしもその落とし穴に誰も落ちず、そのまま違う場面に映像が移ってしまったとしたら、 なんとも言えない『もやもや感』が胸に残る事でしょう。

もう一つ例をあげると、水戸黄門という時代劇を見ている人は、 今まで散々やりたい放題であった悪代官が、最終的に黄門様の前にひざまずく姿を期待しています。 もし印籠を見せても「構わん! 斬れ斬れ!」と誰も聞く耳持たなかったとしたら、 最終的に悪代官を倒したとしても、視聴者が『満足』することはないでしょう。


 期待されること

RPGも同様に、暗黙のうちにプレイヤーさんが期待していることがあります。 それらを達成させてあげることで、『満足のいく』ゲームを作り上げる事ができるでしょう。 期待されているであろう要素をいくつか挙げてみました。

期待
  1. 世の乱れは、最終的に治まるだろう
  2. 不幸なキャラクターは、いずれ幸せになるだろう
  3. 怪しいところには、何か隠し要素があるだろう
  4. 袋小路には、宝箱があるだろう
  5. 苦労をすれば、それに応じた利益が得られるだろう
  6. 敵らしからぬ敵は、いずれ味方になるだろう
  7. 味方らしからぬ味方は、いずれ敵になるだろう
  8. 物語の謎は、いずれ明かされるだろう
  9. 弱い者は、いずれ強くなるだろう
  10. 強い者は、いずれ弱味を見せるだろう

 達成するには?

それでは、期待されたことを達成させる為にはどうすれば良いのでしょうか?  項目一つ一つについて考えてみましょう。

 世の乱れは、最終的に治まるだろう

これは物語の序盤に示された『苦難』が、ゲームの終盤には解消されるだろうということです。 例えばありがちな『復活してしまった魔王を倒す』というゲームの場合、 最初に示された『魔王によって世界が破壊されていく苦難』は、 最終的に何らかの形で『解消するだろう』ということをプレイヤーさんは期待します。 ポイントは『解消すること』が期待されているのであって、 『平和になること』が期待されているわけではない点です。 つまり、今までの状態に終止符が打たれれば、 平和になろうと人類が星ごと自爆して魔王を倒そうと、どっちでもいいということになります。

達成するには?
→序盤に示された『苦難』は、最終的に『解消』させる

 不幸なキャラクターは、いずれ幸せになるだろう

『シンデレラ』でも『わらしべ長者』でも、最初不幸であった人物は、最終的に幸せになります。 読み手はそうなることを『期待』しているのです。RPGにおいても、 このことを心にとめておかなければなりません。 ただ、幸せと言っても、『あらゆる面で幸せに』なる必要はありません。 『我々には到底幸せには思えないようなこと』であっても、 その人物にとって物語当初と比べて幸せであれば、我々は満足することができます。

達成するには?
→不幸なキャラクターは、最終的に幸せを感じさせる

 怪しいところには、何か隠し要素があるだろう

『見渡す限りの芝生に、土の部分が1ヶ所あった』ら、調べてみたくなるでしょう。 『一人だけ歩く速度の速い人物がいた』ら、話しかけてみたくなるでしょう。

達成するには?
→怪しく思われるようなものを作らない。故意に作るのなら、何かしらアクションを起こす

 袋小路には、宝箱があるだろう

これはプレイヤーさん次第だと思いますが、ドラクエなんかをやりなれていると、 袋小路に宝箱があるのは当たり前のような感覚に陥ってしまいます。 そういう人を満足させる為にも、できる限り袋小路には宝箱を置くようにすると良いでしょう。

達成するには?
→ダンジョンの袋小路には宝箱を置く

 苦労をすれば、それに応じた利益が得られるだろう

『これを○○へ届けてくれ』と言われたら、 『届けたら何かお礼がもらえるだろう』と『期待』されます。 ポイントは、『ちゃんとしたお礼である必要はない』という点です。 お金やアイテムなどがもらえなくても、 「礼なんかやらんぞ。あっち行け」と言われるだけでも、 それはそれで『満足』することができるのです。頭にはくるかもしれませんが(^^;) 大切なのは『期待を裏切らない』ことです。

達成するには?
→プレイヤーさんに苦労をさせた後には、何らかの形で報酬を与える

 敵らしからぬ敵は、いずれ味方になるだろう

『あ。この人仲間になるな』なんて勘を働かせるプレイヤーさんが時々います。 『敵の組織に馴染んでいない敵』などがその対象です。 ここでのポイントは『完全に仲間になる必要はない』という点です。 一時的に『主人公をかばう』ことや『休戦する』ことでも『満足』することができます。

達成するには?
→敵組織に馴染んでいない敵は、一時的にでも味方にする

 味方らしからぬ味方は、いずれ敵になるだろう

今度は逆に『味方に馴染んでいない味方』がその対象となります。 『仲間に嫌味を言う』ような憎らしいキャラクターがいたら要注意です。

達成するには?
→パーティに馴染んでいない味方は、パーティを裏切らせる

 物語の謎は、いずれ明かされるだろう

当たり前の事かもしれませんが、意識しておかないと意外と明かすのを忘れたりします。 シナリオをしっかりと練った上でゲームを作り始めるようにすると、 こうしたミスは少なくなるでしょう。ただ、敢えて『最大の謎』を残す。という表現方法もあります。

達成するには?
→不用意に謎を残さないようにする

 弱い者は、いずれ強くなるだろう

『弱い者が成長して強いものを負かす』ところに感動が生まれることから、 こうしたことは非常によく『期待』されています。ストーリーの存在するRPGで、 この『期待』を裏切るゲームは存在しないといっても過言ではないでしょう。

達成するには?
→色々な意味で弱い存在を、何らかの手法によって強くする

 強い者は、いずれ弱味を見せるだろう

どんなに強い存在であっても、必ず『弱い部分』を持っています。 それを上手く描くと感動的な場面が得られることから、こちらもよく『期待』されます。

達成するには?
→色々な意味で強い存在を、何らかの手法によって弱くする


 自分なりに工夫すること

以上のような事を心にとめておけば、 プレイヤーさんが『満足』するゲームに一歩近づく事ができるでしょう。 しかし、各項目を読んでいて気付いた方もいるかもしれませんが、 これらを意識して作られたイベントは『ありふれて』います。 『満足』を生む『定石』だけに、過去多くの人々が使ってきたのです。 したがって、これらをそのまま取り入れたところで、得られるものはあまり多くありません。 大切なのはこれらの要素に『オリジナリティ』を加える事です。 せっかく世界で一つのゲームを作っているんですから、 『定石』ばかりにとらわれずに、自分なりのアイディアで面白いものを作ろうではありませんか。


トップ 我流RPG制作論 お約束

(C)2001-2010 つくりえいと All rights reserved.