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 一を笑う者は一に泣く

 ちょっとしたことで冷める空気

あなたは『マッチ売りの少女』というドラマを見ていました。 ストーリーはクライマックスを迎え、最後のマッチを擦った少女が、 おばあさんに連れられて天国へと登っていきます。それは涙無しでは見られない感動のシーンでした。 カメラは寒空の下横たわる少女をアップで映し出します。が、もしもこの時、 少女を演じる女優の鼻から『鼻毛』が飛び出ていたらどうでしょう?  今まで盛り上がってきた感情は一気に冷め、違う意味で泣けてくることでしょう。 こうなると最後、今後どんな感動的な演出が待っていようと、全ては安っぽく見えてしまいます。 このように、感情というものは、熱しにくく冷めやすいというとても質の悪いものなのです。


 ゲームでは鼻毛は見えないが・・・

実際の人間を使っていないゲームでは、故意に作らない限り『鼻毛が出る』ことはありません。 しかし、肝心なのは『鼻毛』ではなくて、『空気を冷ますようなことをしてしまうこと』です。 具体的にどんな物があるのかを考えてみました。

  • セリフに誤字・脱字がある
  • キャラクターが変な方向を向いている
  • いないはずのキャラクターがいる(消し忘れ)
  • ウェイト(間)の使い方が適切でない
  • セリフの右端が切れている(ツクール限定)

どれもちょっと見直せばわかるような些細な事ばかりです。 しかし、これらは確実にプレイヤーの心を冷まします。 制作者はできるだけ、このようなことがないようにしなければなりません。

 時間をかければイベントは確実に良くなる

ではどうすればこのようなミスを減らせるのかというと、それは『何度も見直すこと』です。 作りたてのイベントは『1(いち)』ではなくて『-(マイナス)』であると考えましょう。 手直しを加えて初めて『1』や『2』のような、ゲームの『+(プラス)要素』になるのです。 何度か見直すことによって、些細なミスの多くは確実に取り除かれるでしょう。 ただ、制作者はセリフの流れを理解している為、画面のセリフを読んでいるようで、 実は頭の中のセリフを読んでいたりします。従って、読み返しても『誤字や脱字』には なかなか気付かなかったりするのです。これを回避する為には、時間が経過した後に読み直せばいいのですが、 それでも全ての誤字や脱字を取り除けるわけではありません。確実なのはテストプレイヤーを募集して、 第三者にセリフを読んでもらうことでしょう。

『何度も見直すこと』のメリットは、 こうしたちょっとしたミスを減らす事だけではありません。何度か見直しているうちに、 『ここをもっとこうした方がいいんじゃないか?』というアイディアが湧いてきます。 基本的に『手を加えて悪くなる』ということはほとんどありません。 大概は『以前よりも良くなる』のです。アイディアが浮かんだらしめたものと思ってください。

ただ、『見直すこと』はいいことばかりかというとそうではありません。 これには趣味としてゲームを作っている人には頭の痛いデメリットがあります。 それは『時間が何倍もかかる』ということです。見直すということは『イベントをもう一度見る』 ということですから、2回見直せば『イベント時間×2+1回目の修正時間+2回目の修正時間』の時間が、 3回見直せば『イベント時間×3+1回目の修正時間+2回目の修正時間+3回目の修正時間』 の時間がかかり、最終的にはテストプレイだけで通常のプレイ時間の何倍もプレイしていることもざらだったりします...

 丁寧な作りを心がける

単純なミスが冷ますのは『感動』だけではありません。 私の感覚では『ギャグ』のキレも悪くなるような気がします。 同じギャグだったとしても、その前に『冷める事柄』を見かけると、 文字通り『冷めて寒〜くなる』ようなのです。 些細な事でこんなに変わってしまうなんて、とても勿体無いとは思いませんか?  思ったら制作時間と完成度を天秤にかけて、できる限り見直すようにしましょう。 些細な事の積み重ねが、全体の完成度を左右するといっても過言ではないのです。


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