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 対立者の黒い影

突然ですが、あなたは次の2つのRPGのうち、どちらをプレイしたいと思いますか?

  1. 「餅を食べたい」と言う病気の妹の為に、餅を買いに出かける騎士の話
  2. 「月を食べたい」と言う病気の妹の為に、月を採りに旅立つ騎士の話
どちらも病気の妹の為に出かけるという点で同じです。 しかし、どちらも全く同じ完成度だったら、誰がどう考えてもiiの方が面白そうですよね? 

では、この2つの違いは何でしょう? 明らかな違いは、『目的を達成する事の難しさ』です。 餅はどこでも売っていそうなイメージがありますが、果たして月はどこで手に入れたものでしょう? iは先の展開が読めますが、iiは全く読む事ができませんね。 この実現するのが難しい『壁』のことを『対立者』と言います。 これが強大であればあるほど、ストーリーは劇的になるのです。 対立者という言葉が示す通り、本来ならばこれは人物であるのですが、 今回のように『困難』や『危機的状況』を人の代わりに扱う場合もあります。

本当に対立者が原因でiとiiの面白さに違いが現れたのかを示す為に、 iにも対立者を出現させてみましょう。こんなのはいかがですか?  『この世界では、餅は国1つを買い取ることができるくらい高価な代物である』 もっと対立者を強大にして『悪魔に魂を売ったものだけが手にすることができる』 なんてどうでしょう? 大分iiに近づいてきたと思いませんか?  妹の願いを断るか、はたまた魂を売ってでも餅を手にするか。 確かに最初の設定よりも面白みが増している事を実感していただけると思います。 対立者は物語を劇的にしてくれる存在に間違いはないようです。

困難や危機的状況が対立者となることはわかりました。では、 本来の意味である『対立者が人間である』場合にはどうなるのでしょうか? これは単純に『主人公と目的が相反する存在』を作ればいいのです。 目的が相反するというのは、両者がシーソーに乗っているような状況を 思い浮かべていただければと思います。片方が上がると、もう片方は下がる・・・つまり、 片方が利益を得れば、片方は損をするという感じなります。

月や餅を取ってくるお話の場合、月や餅を持っていかれると損をするのが対立者というわけです。 お餅屋さん? 月ウサギ? それはあなたが勝手に決めてください(^^;) 対立者は自分の利益を確保する為、もしくは、損をしない為に、 主人公の邪魔をしてきます。これによる衝突がドラマを生むわけですね。 困難が大きければ大きいほど劇的であったように、 人である対立者も、主人公より強くなければ、出現させる意味はあまりありません。 なぜならば、仮に主人公の邪魔をしてきても、 主人公はそれを簡単に排除する事ができてしまうからです。 それじゃあドラマは生まれませんよね。その点にはくれぐれもご注意ください。


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